パッヘルベルのカノン2〜SPで何が違うのか〜
SP切り替えてカノンを聴いて、TANNOYの2wayバスレフの音が感情に迫ってこない・・・と結論づけたわけだがいったいどこがどう違うのか。そこんとこについて表現してみようと思う。
『やさしくも切なさを含んだフレーズを淡々と繰り返しているようでいて、最初密やかに始まり、終盤にはいつしか静かに燃える情熱のようなものが沸き出して来る』
そんな曲だと昨日のブログで書いた。音楽的にメリハリがある曲ではなく、淡々としたメロディーなんですが、終盤に連れて徐々に音量が大きくなり“演奏者の表現にもメリハリ”がついてくるんです。もちろん密やかに始まる部分にも「ささやかさ」の表現として微妙な揺れが入っております、はい。でですね。多分、演奏者の巧い下手で終盤に受ける感情の高揚感が違ってくるような曲なんです。
それでTANNOYで聴くと「カラオケの自動採点で高得点取れるような」鳴り方をするんですよ。音程は一定、乱れなくツーっと鳴ります。カラオケで高得点とるのにはリズムと音程が大事だったりするじゃないですか。歌詞などに思い入れを込めて「歌唱」すると、すんごい聞き手にアピールがあっても得点が上がらなかったりする。ちょうどあれです。なんか音符通り譜面通りに弾いてますってな感じの鳴り方。それでよ〜〜っく聴くとそれは楽器の音じゃない。楽器の音を再現したブザーの音。
きれいな音だけど・・・ブザーの音!
「ブーーーーーーーーーーーーーー」
と一定に鳴る。カノンのような淡々とした曲だと演奏者の表現は非常に微妙だから、スピーカーが演奏表現をぼやかして平滑化しちゃってるんだね。何が原因だろう。重くて反応の鈍いミッドレンジが悪いのか、もしくはネットワークが微小信号を平滑にしちゃっているのか。
幾つかスピーカーを持っていたらやってみると面白い。ポップスやロックでは判り難い。音楽自体にメリハリがあるから(そういう音楽だけ聴いてる分には、オーディオにもメリハリ(私にはハッタリと同義)が効いてさえいれば良いと思ってしまうだろうな)。カノンのように淡々とした曲とか、ボーカルなら「ささやき系」のパートがあって微妙な歌唱で表現している曲が良いと思う。リラックスして、その曲をリピートして何回か聴く。慣れたら切り替えて別のスピーカーで何回か聴く。そして感性の問題になるが、感情の揺さぶられ方を比べてみる。そしたら後は1回毎にスピーカーを切り替えて何度も確認してみる。
私の場合、手作りのフルレンジで聴くと終盤は感情に合わせて指揮するように手を動かしていたが、TANNOYの2wayバスレフではそこまで乗り切れなかった。てか、これから盛り上がるんだよな・・・と期待したら曲が終わった。気を取られない鳴り方なのでBGMには良いのかもしれないが、音楽鑑賞にはならない。
TANNOYは決して悪いスピーカーメーカーではない。鳴らし方は難しいと言われるが、高級オーディオのスピーカーとしては天下一品だったりする。私のTANNOYはFusion2という普及価格帯の製品だが、それでも価格に対して悪いスピーカーということはないと思う。でも強引に結論を言わせてもらうなら、
「スピーカーにネットワークのような余分な回路は無くて済むなら無い方が良い」
「中音域という音楽にとって表現の中核となる音域で、動きの鈍い低域向けの造りのユニットは使わない方が演奏表現は活き活きとする」
ということだろうか。
綺麗なブザーの音と無意味に強調されたメリハリ(ハッタリ)。これが最近の音造りと嗜好であることは間違いないが・・・でも、そのオーディオ楽器の音がしてないかも。
Posted: 水 - 3月 7, 2007 at 12:00 午前