自作バックロードホーンの改良


TimeDomainは(多少神懸かりな?)評判と独自の理論展開に興味をひかれるものがある。基本的にスピーカーユニットをストレス無く動かす事と背圧を音に変えずに上手に吸収させるというのが一つのポイントだ。ここのYoshii9という製品はSPユニットの背圧を長い管を通して抜くのだが、管の内壁に吸音材を貼って、その行程で管も鳴らさず背圧で生じる音を消している 。バスレフキャンセラーはそれをバスレフダクトに応用してみたものだ。

 それでこれまで手持ちでは最低評価だったTANNOYが見違えるようになってしまうと、お気に入りのバックロードホーンが・・・なんか悔しい。それでバックロードでも何かやれることはないかと考えた。一つは(良くある)これだ。
バックロードのホーン開口部にフェルトを敷いた
中高音の漏れ音を吸収させるためのものだが、私は、これには懐疑的だ。ホーンロードを通ってエネルギーが最高潮に達した時に吸音したって効果が大きいはずが無い。吸音するならホーンロードの中でやるべきだろ。減衰しやすい中高音は早いうちに吸収して残りやすい低音域だけ選択的に増強すりゃいいじゃんか。
・・・とは言え、少しでも濁りを取れればと気休めにやりました。

 しかし、今夜のアフター0(すんません帰宅0時でした)の本命はこれじゃない。SPユニットうらのキャビティのこれです。
  
キャビティの背面(SPユニットの真裏)にスポンジゴムを貼りました。これは何のためにやったかというとSPユニットを強固に固定するためです。TimeDomainの技術紹介 を見るとSPユニットの「仮想グランド」という言葉が出てきます。音をきれいに出すためにはSPユニットのコーンが正確な電気信号に合わせて正確に動くことが必要だというわけであります。コーンの動きに余計な動揺を加えず、電気信号を乱さぬためにはSPユニットの磁気回路とSPユニットのフレームはエンクロージャーの振動から切り離して安定した場所(仮想グランド)に対して静止させよ・・・と言うのです。しかし大抵のスピーカーシステムではSPユニットはバッフル面でのみ固定され、重いマグネットがぶら下がっている状態です。アンバランスもいいところ。動いちゃいけないところが動き易い取り付け方法なのです。それじゃあSPユニットの後ろから(スポンジゴムの)手を回して、ゴムの反発力でユニットを支えてみようじゃないかと。ゴムならばエンクロージャの振動からある程度は切り離せます。バッフルからの振動の伝わりは・・・まあ、よしとしましょう。
 これには私が想像する範囲でもう一つ利点があります。バックロードホーンのバッフル裏のキャビティは、普通のスピーカーシステムのエンクロージャに比べて容積が小さく形状も単純な箱です。キャビティには吸音材(写真ではネルを貼ってあるのがわかるでしょ)を入れますが、何ぶんにも容積が小さいですから定在波によって振動して音を出し易い(箱なりならぬキャビティ鳴りです)。キャビティの中央に吸音性のある柱を立てれば、この定在波が発生しにくくなる効果もあるでしょう。

 それで結果は・・・聴いてはっきりわかりました。濁りは消えて音もかなりくっきりしています。やはり理にかなっている要素を取り入れると、その通りの結果が得られることがわかりました。

Posted: 水 - 7月 4, 2007 at 02:47 午前            


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