VTOSアストロノミカル・ファーストライト


6月6日,7日の2夜。西はりま天文台と北海道大学,北見工業大学のVTOSチームは、VTOSによる最初の本観測(アストロノミカル・ファーストライト)を行った。6日の夜半過ぎに良シーイングに恵まれ、口径2m,日本国内,可視光(550nm)という条件としては驚愕のsingle-speckleが出現する事を確認した。

 通常、大気による揺らぎの影響を受け、星の拡大像は、speckle(スペックル)と呼ばれる不規則な斑点模様を呈する。ところが大気揺らぎの影響が小さくなると、散らばった斑点は一つに集束し、望遠鏡のレンズ(鏡)の形状(通常は円形)に応じた光の回折現象によってリングをまとうようになる。最初の写真は、大気の変化を止めるシャッタースピードで得られた回折リングを伴う星像が出現した瞬間である。
 この天体はHR6406という恒星(連星系)であるが、連続500枚取得した画像のうち、このような大気揺らぎの影響が殆どなくなった瞬間が数十画像存在した。この好条件の画像のみを取り出して、加算して得られた画像が次の・・・

これである。完璧な回折パターンに近い星像が得られた。処理がまだまだ適当なので、この星像での分解能は0.1秒角であるが、真面目に処理すれば多分、なゆた望遠鏡の限界性能0.05秒角を達成できると思う。
 捕らぬ狸の皮算用であるが、0.05秒角の分解能を達成してしまうと実は日本最大の望遠鏡「すばる」が現在達成できている分解能を“抜いて”しまう・・・どうしよう・・・
 ちなみに500枚全ての画像を単純加算すると、フツーに星の写真を長時間露出して撮影した時とほぼ同等になる。それが・・・

これである。この画像での分解能は0.3秒角。それは、すばる望遠鏡がフツーに星の観測を行った時の分解能に匹敵する。

・・・というわけで、最初からとんでもない性能を「なゆた&VTOS」は発揮してしまいました。
もうちょっと解析を詰めて(できれば0.05秒角を達成させて)プレス発表をしようかな。口径2mが8mに勝ったら気分いいでしょ!

Posted: 金 - 6月 9, 2006 at 11:17 午後            


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