> >
最近の進捗
今日は月一回で行われる職場内のコロキウム(研究報告)の当番が回って来たので、VTOS開発についての報告を行った。ちょうど良いので、このブログに載せていなかった事をまとめて紹介しておこう。
まず6,7日に行われたアストロノミカル・ファーストライトから、なゆた望遠鏡のチューニングに関して重要な項目があがってきた。この写真(左:9日に載せたものと同じ)と星像が大気で揺らぐムービー(右)
は凄い画像には違いないが、○で囲ったところを見て欲しい。この範囲に理想とする星像に対して好ましくないボヤっと広がった雲のような光が写っている。専門用語でサイドローブというのだが、この広がりが2秒角ほどある。これはせっかく望遠鏡が性能限界の0.05秒角を発揮したとしても、周囲に2秒角の雲をまとってしまうことを表す。もしサイドローブ内に暗い新天体があったとしたら?
そう! この雲に埋もれて発見できなくなってしまう。
このサイドローブの原因を究明して解消することが、観測性能に非常に重要な課題である。考えられる原因はいくつかある。
1)望遠鏡光学系の球面収差
2)望遠鏡光学系で生じる散乱光の影響
二つに共通して言えるのは、望遠鏡のピントを合わせるために動かす副鏡という鏡の位置によって、光学設計上好ましくない鏡の配置になってしまている可能性である。このあたりを確認するための実験の一つとして、望遠鏡の瞳像(望遠鏡の鏡に光が当たっている様子)を取得した。それが下のムービーである。
光っているドーナツが口径2mの主鏡である。中央の黒い丸は主鏡に開けてある穴。この穴は本来真っ黒であって欲しいのだが、ムービーを再生してもらうと途中から穴の中に光班が出現するのが判る。この動画は主鏡と副鏡の位置を通常位置からVTOSでフォーカスが出る位置まで動かしながら撮ったものである。VTOSでピントを合わせると余分な光がカメラの中に入射することを表している。星像のサイドローブを説明するには光量として少ないかもしれないが好ましくないことではある。今後も原因究明の実験を続けていく。
もう一つは制御ソフトの開発だ。ぼちぼちVTOS制御PC上で実行する制御ソフトをネットワーク越しにGUIで使えそうである。開発中の画像がこれ
右側のディスプレイの左上にあるwindowは、Mac上のターミナルソフトを使ってVTOS制御PCに入って起動した制御ソフトの表示である。WindowsのDOS窓がネット越しにMac上に表示されていると思ってもらえば良い。左側のディスプレイの右上にあるGUIのwindowは、Mac上で制御ソフトを操作するためのものである。これをプログラミングしているわけだ。どうしてMac上で起動したGUIプログラムで、ネット越しのDOSプログラムが操作できるのか・・・仕組みは下の図
このMac上のGUIプログラムはコマンドラインプロセッサになっていて、(例えば)ボタンを押すと、対応するDOSプログラムの制御コマンド(文字列)をターミナルに対して送り込むようになっている。Mac上のターミナルはtelnetによってWindowsマシンのDOS窓同様に動作するので、VTOS制御PC上の制御プログラムは意のままに動作すると言うわけ。
最後に作業準備が整ったVTOSシステムの改良計画。VTOSに搭載されているEBCCD(高感度カメラ)のモニター映像を遠隔操作しているMacに表示させる方法を変更することにした。今まではVTOS制御PC側でソフト的に画像をディスプレイに表示させて、そのディスプレイ表示をネットワークでMacに飛ばしていた(リモートデスクトップ)。下の図の左が現状だ。
これだとVTOS制御PCは、画像を秒間30コマ取り込みしーの、それをリアルタイムでディスプレイ表示するためのソフトウエア処理をしーの、画像をメモリに貯め込みーの(もしくは最高速度でファイル転送しーの)で大忙しになってしまう。そこでネットワークビデオサーバーというハードウエアを使って、カメラが吐き出す画像データをネットワークに乗せることにした。その画像はMacでWebブラウザを使って簡単に見られる。先週、必要な機材は手に入れたので、後はビデオサーバーの設定と動作確認をしてVTOS本体に組み込むことになる。来週中にはできるかな。
Posted: 木 - 6月 22, 2006 at 12:05 午前
Quick Links
Blog -
Category -
Calendar
日
月
火
水
木
金
土
Categories
Archives
Browse archives by date
XML/RSS Feed
Syndicate this site
Comments powered by
Statistics
Total entries in this blog:
Total entries in this category:
Published On: 6 23, 2006 12:27 午前
Powered by
iBlog
©