SXW赤道儀でのオートガイド試行錯誤

12月は月が気にならない中旬までSXW赤道儀でのオートガイドを試行錯誤。
SXW赤道儀は精度の良い架台ではない。2つの軸の直行度とかあるけれど、まず主たる原因はベアリングの数をケチっていることによって回転のスムーズさに欠けることだろう。そこに持ってきて使用しているサーボモーターのトルクが弱め。特に赤緯軸は相当に反応が鈍く速度ものろい。
まずは動きだしの悪い赤緯軸のウォームホイルのバックラッシュを調整。そしてオートガイドを実行する上で最初に行う儀式。(赤径、赤緯)2軸に制御信号を送った時に生じる移動量を計測するキャリブレーションってのがあるんだけど、これの成功率を上げるためのソフト上のパラメータを見つけることだ。

12月8日までに、こいつを煮詰めた結果。移動量を計測するのに赤径軸で5秒以上、赤緯軸で30秒以上の補正信号送出を行わないといけないことがわかった。

そうして撮ったのが次の3枚。カメラはPENTAX K-01、ISO2500、露出は10分。
IMGP0038b
IMGP0039
IMGP0040
ガイドが完璧なわけはなく。どれも流れてしまっている。1枚目のプレアデス星団の画像右下1000x1000を切り出した画像がこれ。
Gerror
流れる方向は画像の主として短辺方向。これは赤径軸(日周運動)の追尾エラーだ。

そして12日。月もあるし透明度も悪かったんだがオートガイドのテストはできる。
赤径方向に流れるのは、補正信号に応答する赤径軸の動きが速すぎるからじゃないかと仮定して、その方向のモーターの補正速度(オートガイド速度)を緩めてみた。
オートガイド速度(赤径、赤緯):(5,5)→(3,7)
IMGP0042
同様に右下1000x1000の切り出しはこちら。
Gerror2
ましになってきた。
ちなみにオートガイドに使っているソフト(SBG CCDOPS)の画面はこちら。
IMG_0633
PC画面の左上の画像が追尾を監視するのにつかっている星の像。右下のグラフが追尾誤差(横軸時間)でX=赤径、Y=赤緯。
システム的にはガイド望遠鏡をD60mm、f2000mm(推定)のマクストフカセグレンから、D80mm、f320mmのアクロマート屈折に変更。
ガイドカメラSBIG ST-iの前にx0.5レデューサーを使った。

その後、年末〜年始の休み中に色々と考えてガイド鏡の拡大率が低すぎるのは良くないんじゃないかと考えた。
撮影カメラ(K-01)側ではレンズが500mmでディテクタのピクセルサイズが4.8μm。
ガイドカメラ(ST-i)側ではレンズが160mm(320x0.5)でピクセルサイズが7.4μm。
星像のズレの検出精度がガイドカメラの1/10として0.7μm程度。ガイド鏡による拡大率が撮影カメラの望遠レンズの1/3しかないのだから、撮影カメラ上での検出精度は2.1μmとなる。K-01上で1ピクセルの半分も星像がズレて初めて気がつくような監視をしていることになる。

オートガイダーの視野を広く取ると撮影しようとする天体の様子もわかるので導入したレデューサー。取ってしまえばいいんだけど、とりあえず倍率を0.5倍から0.75倍に変更することにして挑んだのが1月6日。
ISO1600、露出は5分。月があるので露出は控えめ。
IMG_0007
IMG_0008
同様にプレアデス星団の右下1000x1000の切り出しはこちら。
Gerror3
またちょっと前進は見られたけれども、まだ星が丸く(もしくはレンズの収差が)見えてこない。
オートガイドソフトの画面はこんな。
IMG_0707
これを見る限り、エラーの大きさはXとYとでバランスが取れてきたようだ。

次はオートガイダーからレデューサーを外して代わりにディテクタ保護用にUV-IRカットフィルターを装着。これでガイドカメラの画像コントラストも良くなる。
赤道儀制御パラメータの調整もやってみた。SXW赤道儀は赤径、赤緯軸、それぞれのウォームホイルの機械的なバックラッシュ量に対して、ソフト的にパラメータ入力することで問題を改善できるようになっている。

1月11日、月を拡大して見ながら赤道儀の2軸を動かしてみてレスポンスの隙間時間を数えてみる。パラメータを変更して何度も数える。結果、
バックラッシュ補正(赤径、赤緯)→(0,100)
つまり赤径方向にはバックラッシュはほぼ無し、赤緯方向には最大補正してもあまり改善なしという...なんか赤緯方向はバックラッシュ量よりもモータートルクの足りなさで動きだしがのろいんじゃないかという気がしている。

これ以上のことは(オートガイド速度を7から10にするくらいしか)赤道儀側ではできないので、今度はオートガイドソフト側にあるバックラッシュ補正を赤緯方向に重ねがけすることになるだろう。