カシオペア座に凝る

9月から「カシオペア座」の撮影にはまっていた。
某・石鎚山あたりで星をお撮りになっている方の画像を見てキレイだなあと思ったのがきっかけ。カシオペア座は秋の天の川のただ中にあって、星が沢山写り、近くには二重星団(ペルセウス座だけどね)もある・・・くらいは知っていたのだけれど、実は赤い散光星雲がちりばめられていたのだ。その画像は実に美しい。

それでおいらもカシオペアの画像を星雲つきでと考えた次第。

だけどね。結構むずかしかった。
最初はVoightlandar ULTRON 40mmで、お手本となった画像よりもちょいと広く撮ってみた。
IMK51195
PENTAX K-5IIs + ULTRON 40mm F2(f2.8, ISO800, 90秒×12)
まあ控えめの露出なんだけれど、撮影時間が21時だと、この頃はカシオペアも高度が足りなくって空ももやっとしていて街明かりの散乱で空がグラデーションになって被っている。露出も伸ばせないしグラデーションのある被りをがんばって補正する甲斐もなさそうなので、とにかく透明度の良い夜を待ってみた。

10月2日になって少し良い夜があったので、カシオペアが最高高度に達する0時頃まで待って再チャレンジしたのがこれ。
Cassiopeia141001b_DxO
PENTAX K-5IIs + ULTRON 40mm F2(f2.8, ISO1600, 60秒×4)
露出を気持ち上げて16枚ほど撮ったのだけれど街明かりの散乱が最も弱い最後の4枚だけ使った結果。
星雲は写っているんだけど、どうにも浮き上がってこない。

光害カットフィルターを使って空を暗くして星雲を浮かび上がらせてみようかと思い立ったのだが問題発生。
このフィルターは光の干渉を使って蛍光灯や水銀灯などが放つ特定波長の光をカットするのだけれど、フィルターに対して光が斜めに入ってくると調子が狂ってしまう。40mmだと視野が広すぎて画角の端まで効果が出ないのだ。

それで計算上、画角の端まで効果がある50mmを使うことに。しかしちと気が進まない理由があった。
手持ちのフィルター(IDAS LPS-D1 48φ)にマッチして、レンズフードが装着できる50mmってーとフィルターサイズが49φの・・・あの「D FA Macro 50mm F2.8」なんである。このレンズは開放だと周辺減光が大きくって好きじゃない。絞ると損した気がする天体撮影に二の足踏むレンズなんである。マニュアルの古物「A 50mm F1.7」もマッチするんだけど、これに48φのフィルターをつけるとフードが使えない。高級レンズの「DA★55mm F1.4」てのもあるけどフィルターサイズが58φなんでマッチしない。

意を決して D FA Macro 50mm を使うことに。あー画像処理が面倒くせー。お気楽でキレイがモットーなもので。
11月13日、19時頃にISO 1600、開放、180秒露出を5枚ほど撮ったところで曇っておしまい。周辺減光が大きく画角端の収差もちょっと大きいので気に入らず(未処理)。

11月15日、19時頃からf3.5で妥協して240秒露出を敢行。11枚撮ったところでフィルターに夜露がついて撤退。
Cassiopeia141115_DxO
PENTAX K-5IIs + D FA 50mm F2.8(f3.5, ISO1600, 240秒×11)
写ってきたけど、まだ露出が足りない。f3.5にしても周辺減光は目立ってるよね。

11月18日、21時45分頃から300秒露出敢行。10枚取得を目指すが3枚でフィルターに夜露がついて撤退。
Cassiopeia141118_DxO-2
PENTAX K-5IIs + D FA 50mm F2.8(f3.5, ISO1600, 300秒×3)
こりゃ夜露対策を施さないとダメだと気付く。

11月20日、18時40分頃からフード内部にモルトプレーンを貼った状態で300秒露出敢行。
露よけヒーターも準備するつもりだったけど電源が間に合わず。6枚で夜露がついて撤退。
Cassiopeia141120
PENTAX K-5IIs + D FA 50mm F2.8(f3.5, ISO1600, 300秒×4)
早い時間から始めたので大気のもやによる散乱光のグラデーションがあって影響の少ない最後の4枚のみ使用。
ここいらからRAW現像ソフト DxO Optics にレンズデータから自動で周辺減光を補正する機能があることに気付いて使用している。レベル補正やらトーンの修正をしてみるとなんか周辺減光だと思っていた4隅は青く中央は赤い。これは干渉フィルターを使ったがために生じた色ムラである。

11月22日、ようやく電源が使えるようになってレンズフードに露よけヒーターを巻く。
IMG_1174
1840分頃から DxO Optics の自動周辺減光補正を信じて f2.8(開放)、180秒露出8枚と f3.5、300秒露出15枚の撮影を敢行。完遂!
Cassiopeia141122
PENTAX K-5IIs + D FA 50mm F2.8(f3.5, ISO1600, 300秒×13)
贅沢にも(?)15枚から2枚を捨てることもできるようになりました。
さらに本日、Photoshop をいじくり回して干渉フィルターによる画像の色ムラも補正してみた。
Cassiopeia141122-2
マスクしてカラーバランを調整し色ムラを補正した再処理結果。

色ムラをカラーバランスで補正しても、カメラの画角内で分光感度特性にムラができるのだから星に対する露出効率を補正できたわけじゃない。二重星団の右側はもう少し星があっていい(ULTRON 40mmの画との比較)。かように周辺減光のような症状は完全に払拭できていない。フラットを撮って色ムラごと感度補正するかな。
でも、とりあえず今年はこのへんで許してやろうと思う(誰を?)。

12月の新月期からはオリオン座のバーナードループにはまってみようかと思っている。